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最高裁判所第一小法廷 昭和57年(オ)875号 判決 1984年2月16日

上告人

和田忠義

右訴訟代理人

平山正和

被上告人

和田嘉一郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人平山正和の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨選択の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同二について

記録にあらわれた本件訴訟の経過に徴すれば、所論の点に関する原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同三について

原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件境界確定の訴えが当事者適格を欠く不適法な訴えとしてこれを却下した原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(谷口正孝 藤﨑萬里 中村治朗 和田誠一 角田禮次郎)

上告代理人平山正和の上告理由

<前略>

三 境界確定に関する請求を却下した原判決は、審理不尽および訴の利益に関する法令違背の違法を犯したもので破棄されるべきである。

1、原判決は、「本件係争土地の全部もしくは一部が一八〇一番の土地に属するものではないかとの疑いも払拭することができない」と認定しながら、一八〇〇番の土地と敷地部分との間に本件係争土地が存在しており右土地が上告人の所有でないから上告人は当事者適格を欠き不適法な訴として却下した。

前述したとおり本件係争土地は上告人の買受土地の中に含まれているものであり境界確定の訴を却下することは違法である。

仮に本件係争土地が一八〇一番から分離され売り残されており上告人の所有に属するものでないとしても、上告人は一八〇一番地全体につき所有権移転登記を得て所有名義人となつており一八〇一番の土地につきては公簿上は権利者の地位にあるものである。

とすれば上告人は、右一八〇一番の土地に対する公簿上の権利者たる地位により一八〇一番と一八〇〇番との境界確定を求める利益を有しているものであり当事者適格を有している。

原判決はかかる点について訴の利益に関する法令違反を犯したもので破棄されるべきである。

2、本件紛争の中心的論点は一八〇一番と一八〇〇番の土地の境界を定めることにある。

原判決は境界については「本件係争地の全部あるいは一部が一八〇一番の土地に属するのではないかとの疑いを払拭することができない」と述べるのみで結局、両土地の境界を確定することを放棄してしまつた。原判決は問題解決を回避した無責任なものであり、審理不尽の違法を犯すもので破棄されるべきである。

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